11伊藤 貴之氏 第2章 飲食業【カモシヤ 代表】

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伊藤 貴之氏


カモシヤ
https://ameblo.jp/kamoshiya83/

代表

略歴
略歴
2011年10月 札幌駅北口エリアにて開店
2017年 5月 大通エリアにて拡張移転


第2章 第二創業~拡張移転~

 

 

1.拡張移転

 

それでも狭いお店で常にお客様が一杯の状態での営業でしたから、売上の上限はもう見えてしまっていました。

 

もしかするとその状態を継続する、というのも面白いのかもしれません。

でも、自分の中ではもう一段上に行きたい、という気持ちが出ていたんです。

開店して2年経ってお客様に来ていただきはじめてからは、売上が落ちる月が無く、ずっと上限の売上を継続していました。

 

丸3年が経った時、移転を考え始めました。

15席しかありませんでしたから、座り切れずに帰さなければならないお客様が多くなっていたんです。

 

せっかく来ていただいたお客様なのに、3回も4回も断られたら、「あの店もういいわ」となってしまうと思うんです。

常連さんが友達に当店を勧めていただいたのに、その友達がこの店に来ていただいても「入れない」ということも何度も起きたんです。

飲みに出るなんて、ふつう何度も無いじゃないですか。

そのわずかな出た時に何度も断られたら、普通行かなくなりますよ。

ましてや、住んでいるところが近隣じゃない方もいらっしゃったんです。

 

「もう広い所に移転しなきゃ」

と思い始めてからも、なかなか移転できませんでした。

納得できる良い物件がなかなか見つからなかったんです。

いろいろな物件のお話があったんですが、何か決め手に欠けていたんです。

 

移転を考え始めて、2年近くが経過して、ようやく良い物件が見つかりました。

 

今のこの物件の決め手は「広さ」と「作り」でした。

僕が普段いるカウンターから、個室以外のほぼ全ての席を見渡せる作りになっているんです。

この作りだと余計なシステムを入れずに営業ができるんです。

「やりやすい」というのが一番のポイントでした。

もう一つのポイントは、以前営業していた札幌駅北口エリアと同じ「オフィス街である」という点です。

僕がターゲットにしている層がこの近辺にも多い、ということです。

その2つのポイントだけでこの物件に決めました。

 

この店のオープンの時は、最初の店舗の時とは、気持ちの上で全然違いました。

移転にあたり、ハタノとサワダという二人の社員を雇用しました。

いきなり社員として雇用したんです。

ハタノは北口で営業していた時からのお客様でした。

サワダは僕の前職からの知り合いでした。

移転の前、この二人が拡張の移転に賛同してくれて、一緒に働いてくれることになったんです。

 

物件を作る事に対しては楽しみしかなかったんですが、いざオープンするにあたっては大きな借り入れをすることになります。

そしてそれ以上に、2人の社員を雇用したことで、2人の生活を守らなければならない立場になりました。

この点が、最初の北口でのオープンの時と全然違うところです。

 

起業した時は、先ほども言いましたが

「自分一人だから万が一コケても自分が苦しむだけ」

と思っていた僕が、今回の移転のオープンのときは

「絶対にコケられない」

と変わりました。

 

自分が確実に引っ張っていかなければ、という気持ちになりました。

逆に他人だからこそ、自分の家族に対する思いよりも「確実になんとかしなきゃ」と強く思いました

いままでにない初めてのプレッシャーでした。

 

移転により広さを拡張し

2017年5月23日開店しました。

 

拡張移転後のカモシヤ外観

 

 

やはり最初の北口でのオープンの時に、すごくいい経験をさせてもらったと改めて感じました。

今回の移転オープンの時も2~3か月は、「こんなに来ていただけるんだ」というくらいお客様に来ていただきました。

でも、初めの出店の時の教訓がありましたから「ダメだ!ここで調子に乗ってはダメだ!」って思えました。

 

今、移転オープンから9か月ほどが経ちましたが、今でも思っています。

 

「ここで調子に乗ったら、絶対いつか痛い目に合う」

 

「もっと自分自身が丁寧に仕事をして、もっと底を見て働かないと、社員にも給料を払えなくなる」

 

と、以前よりも常に強く考えて働くようになりました。

 

そのおかげか、札幌駅北口での最初のオープンの時は半年経ったところで売上がガクっと落ちましたが、今回は移転後9か月経っていますが売上が落ちることなく、むしろまだ上がっていっています。

僕が目指している最終的な売上はもっと上にあるんですが、移転オープンとしての売上としては目標を超えることができています。

 

移転後のカモシヤ店内

 

2.現在

 

楽しんで仕事ができています。

 

もちろんプレッシャーもありますけど、それ以上に楽しんで仕事をしています。

 

「仕事嫌だなと思って仕事にきたら終わりだよ」

 

と2人の社員には言っています。

 

どんなに辛くても、忙しくても

「今日は仕込みがいっぱいあるな、、、」

と思ってマイナスに考えて仕込みをしていたら絶対美味しいものなんか作れません。

 

今日仕込みをいっぱいやらなきゃならない、ということは、昨日かなりの量をお出しできたということです。

つまり、昨日はたくさんのお客様にいっぱい喜んでいただけたということだよね、って考えれることが大事なんです。

 

ご予約を頂けて、たくさんのお客様に自分の料理をこれだけ食べていただいているんだよな、って、自分で自分をきちんと評価してあげて成長していくことが大事なんです。

 

ため息をついていたら絶対に良いものは作れませんから。

だから「楽しむ」ってことは大事なんです。

 

僕が2人の社員にプレッシャーをかけて仕事をしても、絶対に良いものは生まれません。

 

僕が、バカみたく楽しんで、お客様とお酒もいただきながら、毎日のように楽しんで仕事をしていると、2人からは「良く毎日そんなに飲めますね!」って言われます。

「だって楽しいから!(笑)」と答えるだけです(笑。

仕事って、こんなに楽しいんだよ!って思っています。

 

僕はアルバイトさんには「学生くらいで楽しいと思っていたら、社会人になったらもっと信じられないくらいに楽しいんだよ!」って言っています。

それくらい仕事って楽しいし、楽しんでやらなければ駄目なんです。

仕事が楽しいと思えるか思えないかは、自分次第ですから。

学生の時は黙っていても友達が近くにいるから楽しいかもしれないですけど、大人になったら自分で自分をどんどん磨いていかないと楽しくならないんだと思います。

逆に言うと、自分をどんどん磨いていけば、仕事は心の底から楽しんでできるようになるんです。

 

月に1回、社員とアルバイトさんを全員連れて、仕事が終わってから飲みに行きます。

その時は僕が一番バカになる日です。

仕事中は、社員やアルバイトさんにいろいろ教えなければならないですし、注意しなければいけない時などもあります。

でも、普段は全然バカな男なんだよ、ということをさらけ出して、付き合うんです(笑。

 

「普通の人なんだな」って思ってもらえれば最高です。

 

 

3.起業して後悔、したことは

 

無いです(かぶせるような即答)

 

 

4.起業して良かったと思うことは

 

めっちゃいっぱいあります(笑。

 

仕事が楽しい

やりがいがある

生きている感が強い

普通にしていたら知り合えない人と知り合える

前職でNo.2の時に知り合えた人と起業してから知り合えた人はまた変わりました

人から接され方が変わりました

自分の思った通りに物事を動かしていける

 

です。

 

 移転後カモシヤ店内

 

5.起業をする人へのメッセージ

 

考える前に行動したほうがいいです。

 

ビビッて(起業)できなくなる、っていう人たちが必ずいます。

僕自身も、札幌駅北口エリアでずっと営業しているよりも、移転して拡張してオープンする方が確実にリスクは増えたんです。

あの場所でやり続けたほうが、確実な売上も上げることができましたし、借金もしなくて済むわけです。

 

誰に相談しても、全員から「移転しないほうがいい」と言われました。

 

もちろん借入をするというリスクもあります。

また新たなエリアでのチャレンジとなるというリスクもあります。

開店まで2~3か月無職になるかもしれないリスクもあります。

いろいろ考えると、結局、拡張移転しないほうがいい、となってしまいます。

じゃあそれでやらなかったら、一生同じ場所でチャレンジしないで終わってしまうということです。

ビビッてしまって、慎重になってしまって考えてしまう前に、まず動いてみることが大事です。

例えば今の自分であればどれくらいの借入ができるのか、を把握しておくだけでもいいんです。

「よしやろう」と思ったときに、実は借入もできませんでした、となるほうがよっぽど残念です。

あらゆる金融機関に聞いてみて、自分の借入ができる金額を知っておけば、今の自分に対する評価もわかります。

物件を探すために多くの人にお願いした時に、どれほどの人が動いてくれるのかを知るだけで、自分の話す言葉の影響力を知ることができます。

 

まず動いて、皆に声をかけて、情報だけでも集めておけば、また何かが動き出しますから。

みんな動いてくれますよ。

そうすると、自分は一人ではないんだということにも気づけます。

 

自分のことを話すと、銀行も公庫も自分が考えていた金額を全額貸していただける、という回答でした。

だったらやるしかないよね、となったんです。

自分もやりたい、周りも動いてくれる、必要な金額も借入ができる、という状態ですから、このチャンスやらなきゃダメだろ、となる訳です。

 

とにかくまず動いてみると、自分がどの位置にいるかを知ることがまず大事です。

 

 

6.この先

 

まずは、この店をもっと賑わせていって、本質を追求したお店作りを実現します。

 

そして、今はこの店一店舗だけですが、最低でもあともう一店舗を作りたいんです。

どうしても札幌駅北口エリアに出したいんです。

 

以前、札幌駅北口エリアで営業していた時のお客様たちに対する恩返しをしたいんです。

あの場所で5年半営業させていただいて、そこを支えていただいていたお客様はあのエリアで働いていた方々です。

今、ここに移転してきて、ここまでわざわざ飲みに来ていただくのは難しいと思うんです。

 

移転したはじめのころは、当時のお客様も皆さん何度か来ていただいたんですが、時間が経つにつれて、やはりいつもここまで来ていただくのは難しいようなんです。

だから、もう一度当時のお客様への恩返しとして、札幌駅北口エリアに出店したいんです。

 

だから、ここだけで営業しているままにしておきたくないんです。

以前はすごく小さなお店でしたけど、同じ札幌駅北口エリアで、今のこの店ほどの大きさで出店して、当時より料理もお酒の種類も増やして、「進化したカモシヤをお見せしたい」と考えています。

 

ここに移転してきてから5年後、今から約4年後を目途に考えています。

 

僕は5年計画なんです。

 

最初オープンして、5年半で移転拡張オープンして、更に5年後にもう1店舗オープン、という具合です。

 

5年計画の更なる一つは、飲食店ではなくて「酒屋」をやりたい、と思っています。

 

2店舗目の札幌駅北口エリアでの出店が先か、酒屋が先か、はその時の状況で決めたいと思っていますが、いずれにしても、あと1店舗の飲食店の出店と、酒屋の出店を実現したいと考えています。

僕は、北海道の酒屋さんからしか仕入れないことにしています。

消費者の立場で考えた時、当店に飲みに来てくださって、知らないお酒を飲んでみて「これ美味しい!」となったときに、当然「どこで手に入るの?」となる訳です。

その時に「これネットであっち(本州など)の酒屋から仕入れているんですよね」となると、その方は自分で買って飲めないわけじゃないですか。

それって「(飲みたい時は)ウチに飲みに来てください」って言っているようなものじゃないですか。

僕は、このお店は「たくさんの日本酒を広めたい」という思いだけでやっているんです。

「ウチの店じゃなければ飲めません」なんてことはしたくないんです。

もちろんこのお店にも来ていただきたいんですが、それ以上に多くの方に、純粋においしい日本酒を飲んでいただきたいんです。

このお店でおいしいお酒を知っていただいたときに、「どこで手に入るの?」となった時に北海道の酒屋で手に入れば最高じゃないですか。

 

そうすればお客様もご自身で買いに行って、ご自宅で飲んでいただくことができるんです。

家で飲みたいな、と思ったときに、自分で買いに行って家で飲めれば、その人もハッピーじゃないですか。

だから僕は北海道の酒屋さんからしか仕入れないんです。

 

まだまだ北海道に来ていない良いお酒は沢山あります。

だから自分で酒屋もやって、そういったまだ北海道に来ていない良い日本酒と北海道を結びたい、と思っているんです。

 

自分で北海道外の酒蔵にアプローチして、卸してもらうことができれば、北海道に新しいお酒を持ってくることになります。

そして、そのお酒を気に入っていただいたお客様にも、僕の酒屋で買っていただければ、その方はご自宅でもその新しいお酒を飲むことができます。

しかも、自分で酒屋をやっても、全部自分の酒屋だけから仕入れるのではなくて、いろいろな酒屋さんから仕入れていきたいんです。

そうすると、お客様も、このお店も、酒屋さんも全員がWINの状態になります。

僕個人が一人勝ちするのではなくて、「日本酒を広めたい」という大きなことを実現して全員がハッピーになりたいんです。

そうしないとやっている意味がないのかなって思います。

 

僕は日本酒が大好きなんです。

お酒の中で日本酒が一番好きなんです。

 

せっかくこういう日本酒の業種に携わっているんだから、この日本酒の業種自体のことも考えていかなければいけないので、広く日本酒を広めていきたいんです。

 

一時期、焼酎のブームがありましたけど、一時の流行りで終わってしまいました。

日本酒ではああいうことは絶対に起こしたくないんです。

 

東京では「古酒バー」ができるくらい今日本酒が流行りだしています。

この流行が北海道まで来るのは、恐らく3~4年後だと思います。

そのころにおそらく大きな流行になると思います。

どれだけの大手の飲食店などが、その日本酒ブームに乗って手を出してくれるかわかりませんけど、あの焼酎のブームの時のようには絶対にしたくないんです。

焼酎は劣化しないから、ブームが去ってたくさんお酒が余ってしまっても、時間をかけて消化して行けるんです。

日本酒は基本的には新鮮さが命で、時間をおいてしまうと劣化してしまいます。

もし日本酒のブームが来てしまって、それが去ってしまった後に、それをそういった知識もない飲食店の人たちが古い日本酒を出してしまうと、それを飲んだお客様は「日本酒っておいしくないね」となってしまう、ということが起きるのが僕は怖いんです。

 

その前にしっかり日本酒のことを説明して、一人でも多くの方が日本酒の知識を知っていれば、そういうことにはならないと思っているんです。

ブームが来てしまう前に日本酒のファンが一人でも多く増えていけば、僕ではなくても知識をもっているお客様が友達に教えていって、となり、日本酒の理解者を増やしておきたいんです。

そういう状態になるくらい、多くの方に良い日本酒を飲んでいただきたいんです。

 

店舗を2店舗にして、酒屋も開けばその発信力は更に増すと思っています。